
「スープラってBMWなの?」と疑問に思ったことはありませんか。
GRスープラを調べると、BMWとの共同開発という言葉が必ず出てきます。
エンジンがBMW製で、製造もオーストリアの工場で行われ、内装もBMWの部品が使われているとなれば、「これはトヨタの車なのか?」と首をかしげる人がいるのも無理はありません。
この記事では、スープラとBMWの関係がなぜ生まれたのか、その背景と経緯、そしてどの程度BMWの影響があるのかについて、詳しくお伝えしていきます。
また、スープラの兄弟車であるBMW Z4との違いや、BMWエンジンを搭載したスープラの走りの実力についても触れていくので、購入を検討している方にも参考になるかなと思います。
- 1スープラとBMWが共同開発に至った歴史的な経緯
- 2BMW製B58エンジンのスペックと実力
- 3スープラとBMW Z4の共通点と決定的な違い
- 4内装や操作系にBMWの面影が残る具体的な理由
スープラとBMWの関係を徹底解説する
GRスープラがBMWとの共同開発で誕生したことは有名ですが、具体的にどんな経緯でコラボが実現したのか、どの部分が共有されているのか、意外と詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、スープラとBMWの関係の起源から、プラットフォームの共有、製造拠点まで、基礎的な情報をわかりやすく整理していきます。
スープラにBMW製エンジンが搭載された理由
GRスープラにBMW製エンジンが搭載された最大の理由は、トヨタ社内に「歴代スープラのアイデンティティである直列6気筒エンジン」が存在しなかったことにあります。
歴代スープラといえば、1JZや2JZに代表される直6エンジンと後輪駆動の組み合わせが大きな魅力でした。
しかし、トヨタは環境対応などの観点から、2007年頃までに直列6気筒エンジンの製造を終了してしまいます。
直6エンジンはV6と比べてエンジン全長が長く、正面衝突時のクラッシャブルゾーン確保が難しいという課題もあり、世界の多くの自動車メーカーが直6から撤退していきました。
そのなかで、直列6気筒エンジンを連綿と作り続けてきた唯一のメーカーこそ、BMWだったのです。
スープラの復活を望む声は世界中のファンやディーラーから上がっていましたが、肝心の直6エンジンがトヨタにない。
だからこそ、すでに提携関係にあったBMWとの共同開発という選択肢が浮かび上がったのです。
補足:直列6気筒エンジンが希少な理由
直6エンジンはV6に比べて全長が長いため、現代の安全基準(正面衝突時のクラッシャブルゾーン)への対応が難しく、ボルボ・日産・スバルなど多くのメーカーが撤退しました。
BMWは自動ブレーキなどの安全技術で正面衝突リスクをカバーするという考え方のもと、直6を継続開発し続けてきた、ある意味で異端のメーカーです。
また、エンジン開発には莫大なコストがかかります。
トヨタにとっては、BMW製の優れた直6ユニットを使うことで、開発費を大幅に削減できるメリットがありました。
一方のBMWにとっても、トヨタとの協力関係を通じて燃料電池技術などでの利益が見込めるという、お互いにとってWin-Winの関係が成立したわけです。
共同開発のきっかけと2012年の提携経緯
トヨタとBMWの共同開発が動き出したのは2012年5月のこと。
スープラの開発チーフエンジニアを務めた多田哲哉氏が、スペインで開催されていたトヨタ86の試乗会に立ち会っていた最中に、本社から「明日ミュンヘンのBMW本社に行くように」という連絡を受けたのが発端です。
当時の技術開発担当役員の指示により、多田氏はバルセロナからミュンヘンへと飛び、BMW側の事業戦略担当者と面会。
そのフライトの中で「これはどう考えてもスープラだろう」と直感したと後に語っています。
スープラの復活には、直6・FRというパッケージの実現が不可欠でした。
その当時、量産レベルの高性能な直6エンジンを持っているのはBMWだけだったという事実が、コラボの実現を決定的にしました。
こうして正式な技術提携が始まり、開発のための設計実務はBMWが担いつつ、走りの味付けや最終的なキャラクターはトヨタが決定権を持つという、ユニークな共同開発体制が構築されました。
共同開発の役割分担まとめ
・設計・製造実務:BMW(シャーシ、エンジン、内装の構成部品など)
・走りの味付け・キャラクター決定:トヨタ(サスペンションチューニング、エンジン・ATセッティング、アクティブデフ設定など)
・デザイン:スープラとZ4でそれぞれ独立開発
CLARプラットフォームとは何か
GRスープラのベースとなっているのは、BMWが開発した「CLAR(クラー)」プラットフォームです。
CLARはスチール・アルミニウム・オプションのカーボンファイバーを組み合わせたモジュラー構造で、高い強度と軽量化を両立しています。
このプラットフォームの最大の特徴は、スポーツカーの走りを決定づける「ホイールベースとトレッド幅の比(W/T)」を、黄金比といわれる1.6以下に設定したことです。
この設計により、旋回性能が高まり、スポーツカーとしての運動性能が際立ちます。
また、2シーターという割り切った乗員構成を採用することでエンジン搭載位置に自由度が生まれ、前後重量配分をスポーツカーの理想値といわれる50:50に近づけることを可能にしています。
さらに、オープンボディで十分な剛性を確保できる構造設計がなされているため、クーペボディのスープラではレクサスLFAをも上回るボディ剛性を実現しているといわれています。
サスペンションはBMWが長年熟成させてきたフロント:マクファーソンストラット/リア:マルチリンクという構成を踏襲。
ピュアスポーツカーだからといって特別な設計にせず、実績ある構成を採用している点が興味深いところです。
オーストリアのマグナ・シュタイヤー工場で生産
スープラが日本車でありながら「日本製」ではないことを知って驚いた方もいると思います。
GRスープラはオーストリアに拠点を置くマグナ・シュタイヤー社のグラーツ工場で製造されています。
マグナ・シュタイヤーは、BMW・メルセデス・ジャガーなど多数の欧州ブランドの生産を請け負う、世界屈指の自動車受託製造企業です。
スープラと同じくBMW Z4もこのグラーツ工場で生産されており、完成したスープラは海路で日本に輸送された後、トヨタによって販売されます。
つまり、車体・エンジン・内装・電装品に至るまでBMWが生産管理を行い、完成品をトヨタに出荷するという体制になっています。
トヨタは実質的に輸入と販売を行っているに近い形態といえますが、走りのキャラクターやデザインはトヨタが主導したものであり、「どちらの車か」という問いへの答えは簡単ではありません。
注意:立体駐車場の利用に注意が必要
GRスープラの最低地上高は112mm。立体駐車場によっては入庫を断られるケースがあります。
購入前に普段使う駐車場の制限高をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
なお、スープラの生産についての正確な最新情報は、トヨタ公式サイト「GRスープラ」で確認できます。
スープラとBMW Z4の兄弟関係の実態
スープラとBMW Z4は「兄弟車」と呼ばれますが、外観は全く異なります。
共通のCLARプラットフォームをベースとしながら、スープラとZ4はそれぞれ独立したチームがデザインと車両構想を練り上げたため、見た目の印象は大きく異なります。
スープラはルーフが開かないクーペボディで、筋肉質なロングノーズ・ショートデッキが特徴的。
一方のZ4は電動開閉式ソフトトップを持つオープンカーです。
ボディサイズも微妙に異なり、全幅1,865mm・ホイールベース2,470mmは同一ですが、全長はスープラが4,380mmに対してZ4は4,335mmと45mm短く設計されています。
価格についても差があり、新車価格はスープラよりもZ4のほうが高めに設定されています。
また、スープラには同じサイトのヤリスMTオーナーが後悔しないための購入前知識とは対照的に、高性能スポーツカーならではの維持費や使い勝手への注意が必要です。
スープラのBMWとの共同開発で何が変わったのか
BMW製エンジンや共通プラットフォームを採用したことで、GRスープラはどのような車に仕上がったのでしょうか。
エンジン性能、内装のBMW感、走りの違いなど、実際に気になるポイントを掘り下げていきます。
B58型エンジンのスペックと走行性能
GRスープラのフラッグシップモデル(RZ)に搭載されているのは、BMW製のB58型3.0L直列6気筒ツインスクロールターボエンジンです。
スペックを整理すると以下のとおりです。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 排気量 | 2,998cc |
| 最高出力 | 340ps(5,000rpm) |
| 最大トルク | 500N・m(1,600〜4,500rpm) |
| エンジン型式 | 直列6気筒DOCH ツインスクロールターボ |
| トランスミッション | 8速AT / 6速MT |
| 燃費(WLTCモード) | 約12.2km/L |
| 車両重量 | 1,520kg |
B58型エンジンの特徴は、筒内燃料直接噴射システム(DI)により燃料効率とパフォーマンスを両立していること。
最大トルクが1,600rpmという低回転域から発生するため、街乗りから高速域まで常にフラットで扱いやすいパワーデリバリーを実現しています。
実際のドライブフィールについても、「シルクのように滑らかな回転フィール」と各メディアから絶賛されており、4,000rpm以上からの吹け上がりの鋭さは、まさに現代のスポーツカーらしい官能性を演出しています。
ノーマルエンジンとして見ても4.5〜5L相当の体感パワーがあるといわれており、スポーツカーとして不満を感じる場面はほとんどないかなと思います。
一方、4気筒モデル(SZ-R・SZ)も用意されており、こちらは2.0L直4ターボで最高出力は197ps〜258ps。スポーティな走りを楽しみながら維持コストを抑えたいライトユーザーにも訴求する幅広いラインアップが魅力です。
内装や操作系にBMWの面影が残る理由
GRスープラに乗り込んで最初に気づくのが、「なんとなくBMWっぽい」という内装の雰囲気です。
具体的には以下のような部分でBMWの影響を感じることができます。
- ウインカーレバーが右ハンドル車なのに左側についている(欧州車スタイル)
- カーナビ・インフォテイメントを操作するコマンダー(ダイヤル式)がBMWのそれと共通
- エンジン始動直後の警告音・カギの形状がBMWと同じ
- シフトレバーの操作感がBMWに近い
なぜこうした部分がBMW流用のままなのかというと、スープラの開発チーフエンジニアである多田哲哉氏は「ウインカーの位置替えにコストをかけるくらいなら走行性能を磨きたかった」と明言しています。
つまり、コスト配分の優先順位として走りへの投資を選んだ結果、内装の操作系はBMWとの共用部品が残ったというわけです。
また、メーター周りはGRスープラ独自の設計がなされており、センターにタコメーターを大きく配置したスポーツカーらしいレイアウト。
Z4はBMWらしく左側に速度計・右側に回転計という配置で、こちらは同じプラットフォームでも仕上がりの方向性が異なります。
知っておきたい:乗降性のクセ
GRスープラはフルバケットシートに近い、サイドサポートの張り出しが高い設計のため、乗降には少々慣れが必要です。
身長が高い方には特にシートへの出入りがしにくいと感じるケースもあります。購入前には必ず試乗して確認することをおすすめします。
スープラとZ4の走りはどう違うのか
同じエンジン・同じプラットフォームから生まれたスープラとZ4ですが、実際の走りのキャラクターは大きく異なります。
スープラは「ドライバーを楽しませること」を最優先に仕上げたスポーツカーです。
クーペボディによる高いボディ剛性と短いホイールベースを生かした切れのいいコーナリングが特徴で、峠やサーキット走行での刺激を追い求める方に向いています。
一方、BMW Z4は爽快なオープンドライブを楽しめるスポーツカーでありながら、高速道路の長距離移動にも対応できるバランス型の設計です。
BMWらしい快適性と上質さを優先した仕上がりで、スポーツカーらしい刺激よりもドライブの心地よさを重視する方向けといえるかもしれません。
サスペンションのセッティングやアクティブデファレンシャルの制御など、走りの味付けはすべてトヨタ側が決定権を持って仕上げたため、スープラはBMW製の骨格を持ちながらもトヨタの哲学が詰まった車になっているのが面白いところです。
維持コストの観点でいうと、スープラはハイパフォーマンスエンジンを搭載しているため定期的な点検が特に重要です。
日常のメンテナンスについてはヤリスの値引き交渉術と購入時の注意点と合わせて、スポーツカー購入時の総合コストをぜひ確認しておいてください。
スープラをBMWだと感じる瞬間と日本車らしさ
日常使いの中でスープラをBMWだと感じる瞬間は、主に以下のシーンです。
- インフォテイメントシステムをコマンダーで操作するとき
- ウインカーを出すたびに左レバーに手が伸びる
- エンジンスタート直後に鳴る警告音
- 鍵を取り出したとき
一方で、スープラが「やっぱりトヨタだな」と感じさせる部分もたくさんあります。
フロントフェンダーが微妙に盛り上がっているため車幅感覚がつかみやすかったり、センターに大きく配置されたタコメーターがスポーツカーらしい雰囲気を醸し出したりと、デザインや細部の演出にトヨタGRブランドの意志が感じられます。
発売当初は「BMWとのコラボに拒否反応を示す声」も一定数ありましたが、実際に乗った人の口コミやメディアレビューを通じてその素性の良さが広まると、評価は大きく好転しました。
「日本のスポーツカーの魂を、BMWの技術で復活させた」という見方が、現在最も的確な評価といえるかもしれません。
なお、スポーツカーの維持においては定期点検や消耗品交換のコスト管理が重要です。購入前に維持費についても十分に調べておくことをおすすめします。
スープラのBMW共同開発に関するまとめ
この記事では、スープラとBMWの関係について、共同開発の経緯から内装・走りの実態まで幅広く解説してきました。
改めてポイントを整理すると、以下のとおりです。
スープラとBMWの関係:まとめ
・2012年の提携をきっかけに、トヨタとBMWが共同開発を開始
・トヨタが持っていなかった直列6気筒エンジンをBMWから採用
・プラットフォーム(CLAR)・エンジン(B58)・製造拠点(マグナ・シュタイヤー)はBMW主導
・走りの味付け・デザイン・ブランドアイデンティティはトヨタが主導
・兄弟車のZ4とは見た目・走りのキャラクターが大きく異なる
スープラはBMWの技術力とトヨタのスポーツカーへのこだわりが融合した、世界でも稀有な1台です。
「BMW製だから本物のトヨタじゃない」という声も理解できますが、走りのチューニングや車のキャラクターを決めたのはトヨタである以上、その魂は本物のスープラといって差し支えないかなと思います。
購入を検討している方は、ぜひ一度試乗して、BMW製エンジンが奏でる直6サウンドとトヨタが仕上げたコーナリングの楽しさを体感してみてください。
なお、車両スペックや価格など最新の情報は必ずトヨタ公式サイト「GRスープラ」でご確認ください。また、購入にあたっての最終的な判断は、販売店や専門家にご相談されることをおすすめします。